【世田谷区 50町別】住宅地の地価ランキング——17年の値上がり率も(2026年最新版)

【世田谷区 50町別】住宅地の地価ランキング——17年の値上がり率も(2026年最新版)

世田谷区の住宅地・公示地価を50町並べてみました。2026年最新値と2010年からの17年値上がり率、駅入りの地価マップまで。

世田谷区にはいくつ「町」があるかご存じでしょうか。

最新2026年版で住宅地の公示地価が公表されているのは50町。町ごとに最大4.10倍の差があります。

この4.10倍という格差は、これまで取り上げた板橋2.13倍・中野2.31倍・杉並2.15倍・豊島1.73倍・北3.16倍を上回り、23区横展開のなかで最も大きい水準です。50町という分母の大きさ、三軒茶屋・下北沢の文化集積、そして多摩川沿いに広がる郊外的住宅地――世田谷の「懐の深さ」が、そのまま数字に出ています。


はじめに:この記事で出てくる用語、ざっくり説明

Q. 「公示地価」とは?
A. 国が毎年調べて発表している「この場所の土地、1m²あたりいくらが妥当か」の価格です。実際の売買価格とは多少ずれますが、不動産屋さんが言う「相場」のもとになる、エリア比較の最も中立な物差し。

Q. 「中央値」とは?
A. ある町の中に複数の調査地点があるとき、順番に並べた真ん中の数字を採用しています。1つだけ飛び抜けて高い土地に引っ張られないので、町の「いつもの値段」を表すのに向いている計算方法です。

Q. なぜ2026年1月1日時点のものが最新版?
A. 公示地価は毎年1月1日時点を調査して、その年の3月に発表されます。本記事は2026年5月時点で確定取得できた最新データ(2026年版)を使っています。

これらの詳しい話は、記事末尾の「補足注記」にもまとめてあります。


上位10町

世田谷区 住宅地の地価ランキング2026 上位10町

データ出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」公示地価2026年(XPT002)/世田谷区・住宅地・町別中央値

上位10町の数字(2026年・住宅地・中央値)

  1. 三軒茶屋:1,305,000円/m²
  2. 桜新町:1,150,000円/m²
  3. 奥沢:1,095,000円/m²
  4. 太子堂:1,050,000円/m²
  5. 池尻:1,050,000円/m²
  6. 代沢:996,000円/m²
  7. 代田:960,000円/m²
  8. 用賀:953,000円/m²
  9. 北沢:937,500円/m²
  10. 玉川:918,500円/m²

上位10町の沿線を見ると、田園都市線(三軒茶屋・桜新町・池尻・用賀・玉川)、京王井の頭線+小田急小田原線(代沢・代田・北沢)、東急目黒線(奥沢)、そして三軒茶屋に隣接する太子堂。渋谷・恵比寿・新宿といった都心ターミナルに最短15分でアクセスできる沿線が、上位を独占しています。さらに国道246号(玉川通り)と、その上を走る首都高3号渋谷線、環状8号線が三軒茶屋〜用賀を貫いており、上位エリアは鉄道だけでなく道路アクセスでも強いのが世田谷の特徴です。首位の三軒茶屋130.5万円/m²は、世田谷区内でも一段抜けた水準。なぜここまで突出したのかは、後ほどの「値上がり率」セクションで触れる構造的な背景があります。


下位10町

世田谷区 住宅地の地価ランキング2026 下位10町

データ出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」公示地価2026年(XPT002)/世田谷区・住宅地・町別中央値

下位10町の数字(2026年・住宅地・中央値)

  1. 粕谷:544,000円/m²
  2. 上祖師谷:518,000円/m²
  3. 祖師谷:491,000円/m²
  4. 千歳台:485,000円/m²
  5. 給田:478,000円/m²
  6. 北烏山:451,000円/m²
  7. 大蔵:383,000円/m²
  8. 鎌田:371,500円/m²
  9. 喜多見:340,000円/m²
  10. 宇奈根:318,000円/m²

下位10町は、世田谷区の西端――多摩川沿いと小田急沿線の西側に集中しています。最下位「宇奈根」31.8万円/m²は、多摩川を渡れば川崎市という区境エリア。世田谷の中ではボトムでも、23区の住宅地としては中位帯にあたる水準です。面積13km²・人口90万人規模を抱える区の懐の深さが、この西部の落ち着いた住宅街にそのまま現れています。

上位は田園都市線・京王井の頭線・小田急東部、下位は小田急西部+京王線南。「どの線で都心に出るか」と「都心からの距離」が、世田谷の住宅地の値段を決める二大要因として、きれいに重なって見えてきます。


全50町を一覧で

世田谷区 住宅地の地価ランキング2026 全50町

データ出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」公示地価2026年(XPT002)/世田谷区・住宅地・町別中央値

50町を並べてみると、なだらかな下降曲線というよりは、上位の三茶・下北圏(100万円超〜)、中央の田園都市線・小田急中部(60〜90万円台のフラットな高値帯)、西端の郊外住宅地(30〜50万円台)という3つの段差が見えてきます。世田谷の住宅地は、ひとつの区のなかに「東京の住宅地が持ちうる価格帯」がほぼ全部入っている、と言ってもいい構造です。


値上がり率ランキング(2010→2026、17年)

値上がり率トップ10

世田谷区 住宅地の17年値上がり率 トップ10

データ出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」公示地価(XPT002)/世田谷区・住宅地・町別中央値/2010-2026年

値上がり率トップ10(2010→2026、住宅地中央値)

  1. 三軒茶屋:+136.2%(552,500 → 1,305,000円/m²)
  2. 桜新町:+106.5%(557,000 → 1,150,000円/m²)
  3. 太子堂:+103.1%(517,000 → 1,050,000円/m²)
  4. 池尻:+96.4%(534,500 → 1,050,000円/m²)
  5. 玉川:+82.6%(503,000 → 918,500円/m²)
  6. 大原:+75.8%(520,000 → 914,000円/m²)
  7. 北沢:+75.6%(534,000 → 937,500円/m²)
  8. 三宿:+69.8%(527,000 → 895,000円/m²)
  9. 代田:+64.4%(584,000 → 960,000円/m²)
  10. 用賀:+63.7%(582,000 → 953,000円/m²)

値上がり率トップ10を眺めると、世田谷区の地価上昇は2つのカルチャー再開発が引っ張っていることが、鮮やかに見えてきます。

首位の三軒茶屋(+136.2%)。これは世田谷区が2019年に策定した「三軒茶屋駅周辺まちづくり基本方針=三茶Crossing」を背景に持ちます。1985年から続く5工区の段階的再開発は現在もなお第3・第4工区が進行中で、令和4年には「三茶のミライ」基本計画が策定されました。文化拠点・広域生活拠点を目指す20年計画の途中段階にあって、地価はすでに区内首位の水準まで駆け上がっています。トップ10のうち太子堂(+103.1%)、池尻(+96.4%)、三宿(+69.8%)は、いずれも三軒茶屋に隣接する町。三茶圏の波及効果が、そのまま値上がり率の帯になっています。

もう一方の主役が下北沢圏。トップ10の北沢(+75.6%)、大原(+75.8%)、代田(+64.4%)、そして11位前後に控える代沢が、ここに含まれます。小田急線地下化に伴い2020年前後に完成した「下北線路街」(1.7km・約2万7,500m²)と、京王井の頭線の高架下に2022年オープンした「ミカン下北」。これらが「高層ビルで安易に稼がない、住民支援型の再開発」として全国メディアでも繰り返し取り上げられ、下北沢の文化的ブランドを再構築しました。地価は、そのブランドの裏付けとして上がっています。

田園都市線中軸の桜新町(+106.5%)と玉川(+82.6%)、用賀(+63.7%)は、二子玉川を含むこの沿線そのものの底力。世田谷の地価は2つのカルチャー圏(三茶・下北)と田園都市線中軸の三本柱で押し上げられている、と言い換えてもいいかもしれません。

値上がり率ボトム10

世田谷区 住宅地の17年値上がり率 ボトム10

データ出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」公示地価(XPT002)/世田谷区・住宅地・町別中央値/2010-2026年

値上がり率ボトム10

  1. 上祖師谷:+32.1%
  2. 給田:+30.2%
  3. 成城:+25.6%
  4. 北烏山:+23.6%
  5. 千歳台:+21.7%
  6. 鎌田:+17.9%
  7. 大蔵:+14.0%
  8. 喜多見:+13.7%
  9. 祖師谷:+8.9%
  10. 宇奈根:+8.5%

最下位「宇奈根」でも+8.5%、伸び悩み気味の数字に見えますが、宇奈根は2010年時点で29万円台という、すでに低い水準。多摩川沿いの地理条件のなかで、値動きが小さいエリアと言えます。

ここで強調しておきたいのは、世田谷区は50町すべて、17年間プラス成長を達成していること。最下位でも+8.5%。これは23区横展開のこれまでの記事と同じ結論で、東京の住宅地は町ごとの伸びに差はあっても「値下がりした町は1つもない」のが標準値です。

全50町、17年の値上がり率

世田谷区 住宅地の17年値上がり率 全50町

データ出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」公示地価(XPT002)/世田谷区・住宅地・町別中央値/2010-2026年


地価マップ(地点と駅)

世田谷区 2026年 住宅地の地価マップ + 区内38駅

データ出典:(地点・価格)国土交通省「不動産情報ライブラリ」公示地価2026年(XPT002)/(駅)国土数値情報 駅データ S12-25・国土交通省/(境界線)国土数値情報 行政区域N03-21

地図の読み方

  • 世田谷区の形をした地図の中に、小さな丸い点(地価ポイント)と黒い四角(駅)が散らばっています
  • 濃い赤色の丸ほど、その場所の地価が高い
  • 薄い黄色の丸ほど、その場所の地価が低い
  • 黒い四角は世田谷区内の駅(38駅)
  • 地図の右側に色の目盛り(カラーバー)があり、最も赤い地点で 1m²あたり130万円台、最も黄色い地点で 32万円台 あたり

地図にすると、赤色の濃い地点は世田谷区の東半分――三軒茶屋・下北沢・三宿のあたりから渋谷区境にかけて――に固まっています。中央の田園都市線沿いは橙〜赤の連なりで、駅と地価の対応関係がきれいに出ています。一方、西半分の小田急線沿線と多摩川沿いは黄色(=低価格帯)が広がります。「渋谷からの距離」と「地価」の同心円構造が、ここまで素直に出る区は23区でも珍しい部類です。


首位と末尾の17年推移

世田谷区 住宅地地価の17年推移 三軒茶屋・桜新町vs宇奈根・喜多見

データ出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」公示地価(XPT002)/世田谷区・住宅地・町別中央値/2010-2026年

首位「三軒茶屋」は2010年55万円台から2026年130.5万円へ、17年で2.36倍。末尾「宇奈根」は29万円台から31.8万円へ、ほぼ横ばい。両方とも上昇しているのですが、伸びのカーブの角度がまったく違うことが、グラフの形そのものから読み取れます。三軒茶屋は2014年あたりから明確に伸びはじめ、2020年以降は急角度で立ち上がり、三茶Crossingの基本方針策定(2019年)と「三茶のミライ」計画(令和4年)の時期と重なります。同じ世田谷区内でも、再開発の有無で17年に2倍以上の差が広がる――この構造が、地価マップの色のグラデーションそのものを形作っています。


3エリアで整理

50町の数字を、ざっくり3つのエリアに分けて見ると、世田谷区の輪郭がより掴みやすくなります。

  • 東部(三軒茶屋・下北沢圏/渋谷直結カルチャー):三軒茶屋・太子堂・池尻・三宿(田園都市線東端)、下北沢・代田・代沢・北沢・大原(小田急+京王井の頭線)。「三茶Crossing」と「下北線路街」という2つの長期再開発が、地価と文化的ブランドを同時に押し上げているエリア。道路は国道246号と首都高3号渋谷線が三軒茶屋を東西に貫く。住宅地ランキング・値上がり率ランキングともに上位を独占
  • 中央(田園都市線中軸+小田急中部):桜新町・用賀・玉川・新町・上馬・駒沢(田園都市線)、経堂・上北沢・桜上水(小田急本線)、九品仏・奥沢(東急目黒線・大井町線)。高値帯がフラットに連なる、世田谷の「定番住宅街」エリア。用賀には東名高速の起点「東京IC」と環状8号線・国道246号の交差点があり、車派にとっての要衝でもある
  • 西部(小田急西端・多摩川沿い/郊外的住宅地):成城・祖師谷・喜多見・千歳台・大蔵・鎌田・宇奈根(小田急本線西側+多摩川沿い)、上祖師谷・給田・北烏山(京王線南)。地価帯は控えめだが、敷地・緑・川辺といった都心型では得難い価値を持つエリア。多摩川沿いには第三京浜(玉川IC)、世田谷通り、環八が走り、神奈川・横浜方面への車アクセスは抜群

西部が劣っている」という話ではありません。三茶・下北の再開発が地価を引き上げる東部と、田園都市線が高値帯をフラットに支える中央、そして多摩川を望む広々とした住宅街が広がる西部――同じ区内にこの3つが揃っているのが、世田谷の輪郭です。

さらに付け加えると、世田谷は鉄道の区であると同時に道路の区でもあります。東名高速の起点「東京IC」を用賀に抱え、第三京浜(玉川IC)、首都高3号渋谷線、環状8号線、国道246号、世田谷通りが縦横に走る、23区屈指の「車派にも強い区」。とくに神奈川・横浜方面へのアクセスは、中央〜西部のほうがむしろ優位ですらあります。

渋谷直結のカルチャー集積」を取るか「田園都市線中軸の安定」を取るか「多摩川沿いの郊外的暮らし」を取るか、その3つの選択肢が一つの区の中で並んでいる。50町分のバリエーションは、そのまま暮らし方の幅でもあります。


世田谷を、町別に見ると

50町、最高130.5万円から最低31.8万円、その差4.10倍。17年の値上がり率は+8.5%〜+136.2%、全町プラス成長

「世田谷区」とひと言でいっても、東の三軒茶屋・下北沢でカルチャー再開発が地価を引き上げ、中央の田園都市線・小田急本線で「定番住宅街」がフラットに並び、西の小田急西端・多摩川沿いに郊外の落ち着きが広がる――50町分のバリエーションは、そのまま「東京の住宅地が持ちうる価格帯と暮らし方の幅」そのものです。「渋谷直結のカルチャープレミアム」を取るか「田園都市線沿いの安定」を取るか「多摩川沿いの広々」を取るか――その3択構造を、データが映し出してくれました。


参考データ・出典

この記事のグラフ・地図・数字は、すべて公的に公開されているデータをもとに筆者が集計・作図したものです。

公示地価・地価調査

国土交通省 不動産情報ライブラリ XPT002(地価公示・地価調査API)

  • 期間:2010年〜2026年(17年分)
  • 対象:世田谷区内・住宅地の標準地(町別中央値で集計)
  • データ取得:2026年5月13日/世田谷区内 約3,172レコード
  • 公開URL:国土交通省 不動産情報ライブラリ

駅データ(地図上の駅プロット)

国土数値情報「駅」S12-25

行政区域(地図の境界線)

国土交通省 国土数値情報「行政区域」N03(2021年版)

  • データID:N03-21_13_210101
  • 配布元(GeoJSON変換版):smartnews-smri/japan-topography
  • 利用範囲:世田谷区の市区町村境界の描画のみ

補足注記

■「公示地価」とは
「この場所の土地、1m²あたりいくらが妥当か」を国が毎年調べて発表している価格のことです。実際に売買される値段とは多少ずれますが、「うちの近所の土地、いくらくらいなのか」をエリア単位で比べたい時の最も中立な物差しとして使われています。不動産屋さんが言う「相場」のもとになる数字、と理解してもらえれば十分です。

■ なぜ2026年版が最新なのか
公示地価は毎年1月1日時点の価格を、その年の3月に発表する仕組みです。本記事は2026年5月時点で確定済みの最新データ(2026年版)を使っています。次回更新時には2027年版・2028年版を順次組み込んでいきます。

■「中央値」とは
同じ町に複数の調査地点がある場合、その町の値は中央値を採用しています。中央値とは、順番に並べたときに真ん中にくる数字のこと。たとえば「100、150、200、500、1000」という5つの数字があるとき、平均は390ですが、中央値は200です。1つだけ飛び抜けて高い土地に引っ張られないため、町の代表的な値を示すには中央値のほうが向いています。

■ 地点数のばらつき
町によって調査地点の数は1〜6件と差があります。地点が1件しかない町は「その1地点の値段=町の値」となるため、地点が複数ある町と比べると参考値の意味合いが少し変わります。

■ 用途地域は「住宅地」の大区分でまとめている
同じ「住宅地」の中にも第一種低層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域・準住居地域などの細分がありますが、本記事では「住宅地」の大区分でまとめて集計しています。

■ 数字の正確性について
本記事は公的データの集計をもとにしていますが、原データの誤り・筆者の処理ミス・AIによる集計補助のエラーなど、誤差が含まれる可能性があります。目安として読んでいただくのが正解です。正確な数字は、必ず一次データ(不動産情報ライブラリ)でご確認ください。誤りのご指摘は歓迎します。

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