【杉並区 34町別】住宅地の地価ランキング——17年の値上がり率も(2026年最新版)

【杉並区 34町別】住宅地の地価ランキング——17年の値上がり率も(2026年最新版)

杉並区の住宅地・公示地価を34町並べてみました。2026年最新値と2010年からの17年値上がり率、駅入りの地価マップまで。

杉並区にはいくつ「町」があるかご存じでしょうか。

最新2026年版で住宅地の公示地価が公表されているのは34町。町ごとに最大2.15倍の差があります。練馬区(2.05倍)・板橋区(2.13倍)・中野区(2.31倍)と並べてみると、杉並はちょうど中間。「中央線が東西に貫き、南には井の頭線、北には西武新宿線」という複線構造が、地価のグラデーションをそのまま作っている区です。


はじめに:この記事で出てくる用語、ざっくり説明

Q. 「公示地価」とは?
A. 国が毎年調べて発表している「この場所の土地、1m²あたりいくらが妥当か」の価格です。実際の売買価格とは多少ずれますが、不動産屋さんが言う「相場」のもとになる、エリア比較の最も中立な物差し。

Q. 「中央値」とは?
A. ある町の中に複数の調査地点があるとき、順番に並べた真ん中の数字を採用しています。1つだけ飛び抜けて高い土地に引っ張られないので、町の「いつもの値段」を表すのに向いている計算方法です。

Q. なぜ2026年1月1日時点のものが最新版?
A. 公示地価は毎年1月1日時点を調査して、その年の3月に発表されます。本記事は2026年5月時点で確定取得できた最新データ(2026年版)を使っています。

これらの詳しい話は、記事末尾の「補足注記」にもまとめてあります。


上位10町

杉並区 住宅地の地価ランキング2026 上位10町

データ出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」公示地価2026年(XPT002)/杉並区・住宅地・町別中央値

上位10町の数字(2026年・住宅地・中央値)

  1. 桃井:1,080,000円/m²
  2. 永福:931,000円/m²
  3. 南荻窪:823,000円/m²
  4. 西荻北:811,500円/m²
  5. 荻窪:796,500円/m²
  6. 西荻南:791,500円/m²
  7. 浜田山:773,500円/m²
  8. 成田東:773,000円/m²
  9. 高円寺北:764,500円/m²
  10. 久我山:759,000円/m²

首位の桃井は荻窪駅から北へ徒歩圏、青梅街道沿いの町です。後で出てくる値上がり率セクションで詳しく触れますが、ここは日産自動車旧荻窪工場跡地の一体開発(マンション「in the Park Ogikubo」、UR・大和ハウスの賃貸住宅、商業施設、そして4ha防災公園「桃井原っぱ公園」を含む約9haのプロジェクト)が町の中央値を押し上げた、杉並でいちばん地価の表情が変わった町です。

2位以下を見ると、永福(井の頭線)→南荻窪・西荻北・荻窪・西荻南(中央線)→浜田山(井の頭線)→成田東(丸ノ内線)→高円寺北(中央線)→久我山(井の頭線)。上位10町中、中央線が5町、井の頭線が3町、丸ノ内線が1町。「杉並の上位は中央線と井の頭線が二強」とまとめられます。


下位10町

杉並区 住宅地の地価ランキング2026 下位10町

データ出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」公示地価2026年(XPT002)/杉並区・住宅地・町別中央値

下位10町の数字(2026年・住宅地・中央値)

  1. 上高井戸:631,500円/m²
  2. 善福寺:628,500円/m²
  3. 松ノ木:628,000円/m²
  4. 下井草:585,000円/m²
  5. 大宮:582,000円/m²
  6. 成田西:573,000円/m²
  7. 堀ノ内:564,000円/m²
  8. 上井草:555,000円/m²
  9. 今川:514,000円/m²
  10. 井草:501,500円/m²

下位10町は西武新宿線エリア(下井草・上井草・井草・今川)と京王線エリア(上高井戸)が中心。井草・今川は練馬区(旭丘・栄町)と境を接する北西の端、上井草・下井草は西武新宿線で都心へ抜けるルート。中央線・井の頭線から離れるほど価格は控えめになる、という構造がきれいに出ています。

それでも最下位の井草で1m²あたり50万円台。練馬区の中位グループ(豊玉・春日町)や中野区の中位(江古田・大和町)と同じくらいの水準で、「杉並の最下位=近隣区の中位」と読めば、区全体としての底力が見えてきます。


全34町を一覧で

杉並区 住宅地の地価ランキング2026 全34町

データ出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」公示地価2026年(XPT002)/杉並区・住宅地・町別中央値

34町を並べてみると、真ん中(中央線エリア)が最も高く、南(井の頭線)がそれに次ぎ、北(西武新宿線)がやや落ち着くという南北方向のグラデーションが見えてきます。中央線という東西の屋台骨に、井の頭線(南西へ)と西武新宿線(北東へ)が支線として絡む——杉並区の地価は、この3本の鉄道の地理的配置を、ほぼそのまま映していると言えます。


値上がり率ランキング(2010→2026、17年)

値上がり率トップ10

杉並区 住宅地の17年値上がり率 トップ10

データ出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」公示地価(XPT002)/杉並区・住宅地・町別中央値/2010-2026年

値上がり率トップ10(2010→2026、住宅地中央値)

  1. 桃井:+166.0%(406,000 → 1,080,000円/m²)
  2. 成田東:+89.2%(408,500 → 773,000円/m²)
  3. 西荻北:+81.1%(448,000 → 811,500円/m²)
  4. 方南:+79.9%(388,000 → 698,000円/m²)
  5. 永福:+77.7%(524,000 → 931,000円/m²)
  6. 高円寺北:+74.5%(438,000 → 764,500円/m²)
  7. 久我山:+70.2%(446,000 → 759,000円/m²)
  8. 和泉:+68.8%(410,500 → 693,000円/m²)
  9. 南荻窪:+66.9%(493,000 → 823,000円/m²)
  10. 阿佐谷北:+66.8%(437,000 → 729,000円/m²)

ここで先ほどの桃井の話に戻ります。17年で約2.66倍、+166%という伸びは、杉並区どころか練馬・板橋・中野を含む4区の中でも飛び抜けた数字。この急上昇は、日産自動車旧荻窪工場跡地の約9haを使った一体開発で説明できます。マンション「in the Park Ogikubo」(2004年〜販売、453戸)に始まり、UR都市機構と大和ハウスの賃貸住宅(合計約490戸)、商業施設、介護・保育施設、そして4ha規模の防災公園「桃井原っぱ公園」(2014年開園)が、緑道で繋がる形で同じ町内に集積しました。「マンション+公園+生活インフラ」を町ごとパッケージで作り直した——これは杉並区内でも特殊な事例で、町別中央値が他の町と並ばないのは、ある意味当然の結果です。

2位以下は成田東・西荻北・方南・永福・高円寺北・久我山・和泉・南荻窪・阿佐谷北中央線・井の頭線・丸ノ内線の駅近がほぼ独占しています。「鉄道アクセスの良い住宅地が17年間ずっと選ばれ続けた」という、東京の住宅地価の基本ルールがここでも繰り返されました。

値上がり率ボトム10

杉並区 住宅地の17年値上がり率 ボトム10

データ出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」公示地価(XPT002)/杉並区・住宅地・町別中央値/2010-2026年

値上がり率ボトム10

  1. 高井戸西:+52.5%
  2. 下井草:+48.1%
  3. 清水:+47.7%
  4. 堀ノ内:+46.7%
  5. 成田西:+45.8%
  6. 大宮:+45.1%
  7. 上井草:+43.8%
  8. 善福寺:+43.7%
  9. 井草:+38.2%
  10. 今川:+33.9%

最下位の今川(+33.9%)と井草(+38.2%)でも、17年で約1.34〜1.38倍。住宅地で「3割伸びれば上出来」と言われるラインは余裕でクリアしています。「杉並区の住宅地は全34町が値上がりした17年」と、ここでも言って差し支えありません。

全34町、17年の値上がり率

杉並区 住宅地の17年値上がり率 全34町

データ出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」公示地価(XPT002)/杉並区・住宅地・町別中央値/2010-2026年


地価マップ(地点と駅)

杉並区 2026年 住宅地の地価マップ + 区内18駅

データ出典:(地点・価格)国土交通省「不動産情報ライブラリ」公示地価2026年(XPT002)/(駅)国土数値情報 駅データ S12-25・国土交通省/(境界線)国土数値情報 行政区域N03-21

地図の読み方

  • 杉並区の形をした地図の中に、小さな丸い点(地価ポイント)と黒い四角(駅)が散らばっています
  • 濃い赤色の丸ほど、その場所の地価が高い
  • 薄い黄色の丸ほど、その場所の地価が低い
  • 黒い四角は杉並区内の駅(18駅)
  • 地図の右側に色の目盛り(カラーバー)があり、最も赤い地点で 1m²あたり108万円台、最も黄色い地点で 50万円台 あたり

地図にすると、中央線(高円寺・阿佐ヶ谷・荻窪・西荻窪)が東西に赤い帯を作り、その南に井の頭線(永福町・浜田山・久我山)の赤い支線が伸びる。一方で、北の西武新宿線(下井草・井荻・上井草)と南端の京王線(八幡山・芦花公園)は色が落ち着いている——これが杉並区の地価マップを一言で言ったときの形です。

桃井(首位)が荻窪の北でひときわ深い赤になっているのも見えるはず。中央線の幹線に再開発が乗ったときの伸びを、地図でも追える地点です。


首位と末尾の17年推移

杉並区 住宅地地価の17年推移 桃井・永福vs井草・今川

データ出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」公示地価(XPT002)/杉並区・住宅地・町別中央値/2010-2026年

首位「桃井」は2010年40.6万円→2026年108万円へ、17年で2.66倍。グラフを見ると、伸びはなだらかではなくある時期から角度が急になる典型的なカーブを描きます。これは再開発タイミングと一致。一方で末尾の「井草」「今川」は、ずっとゆるやかな右肩上がりを続け、それでも+33〜+38%。「急上昇する町」と「淡々と上がり続ける町」の対比が、杉並区内格差2.15倍の中身です。


3エリアで整理

34町の数字を、ざっくり3つのエリア(鉄道沿線軸)に分けて見ると、杉並区の輪郭が立体的に見えてきます。

  • 中央(中央線・丸ノ内線エリア):高円寺・阿佐ヶ谷・荻窪・西荻窪・桃井・成田東 など:杉並の屋台骨。「中央線文化」の聖地と呼ばれる古着・古本・ライブハウス・喫茶店のカルチャーがここに集中。価格も伸び率もトップ層
  • 南部(井の頭線エリア):永福・浜田山・高井戸・久我山 など渋谷⇔吉祥寺を直接結ぶ井の頭線沿線。明大前で京王線、下北沢で小田急線に乗り換えられる結節性の高さと、駒場東大前(東大駒場キャンパス)・明大前(明治大学和泉キャンパス)・下高井戸(日本大学文理学部)など、沿線に22校の大学・短大が並ぶ「学生街でもある住宅地」。中央線エリアに次ぐ価格帯で、閑静な街並みが評価される
  • 北部(西武新宿線エリア):井草・上井草・下井草・善福寺・今川 など:練馬区との境界に近いゆったり住宅街。価格は控えめだが17年で+33〜+50%、家族層に開かれたエリア

北部が劣っている」という話ではありません。中央線文化の中央エリアと、渋谷も吉祥寺も学生街も射程に入る井の頭線南部、そしてゆったり住める北部——この3つの異なる住宅街が、たった一つの区の中に性格を変えながら共存している、というのが杉並区の本当の輪郭です。「駅前文化」を取るか「渋谷も吉祥寺もすぐの暮らし」を取るか「広めの土地と静けさ」を取るか、選択肢の幅が34町分用意されている、と読むのが正解だと思います。


杉並を、町別に見ると

34町、最高108.0万円から最低50.2万円、その差2.15倍。17年の値上がり率は+33.9%〜+166.0%、全町プラス成長

「杉並区」を一言で語ろうとすると見落としてしまうグラデーション——中央線の屋台骨、井の頭線の支線、西武新宿線の落ち着き——が、町別に並べると見えてきます。「中央線で暮らす」「井の頭線で渋谷にも吉祥寺にも出る」「西武新宿線で家族とゆったり」が、同じ区内で並列で選べる——その選択の幅を、データが映し出してくれました。


参考データ・出典

この記事のグラフ・地図・数字は、すべて公的に公開されているデータをもとに筆者が集計・作図したものです。

公示地価・地価調査

国土交通省 不動産情報ライブラリ XPT002(地価公示・地価調査API)

  • 期間:2010年〜2026年(17年分)
  • 対象:杉並区内・住宅地の標準地(町別中央値で集計)
  • データ取得:2026年5月13日/杉並区内 約2,062レコード
  • 公開URL:国土交通省 不動産情報ライブラリ

駅データ(地図上の駅プロット)

国土数値情報「駅」S12-25

行政区域(地図の境界線)

国土交通省 国土数値情報「行政区域」N03(2021年版)

  • データID:N03-21_13_210101
  • 配布元(GeoJSON変換版):smartnews-smri/japan-topography
  • 利用範囲:杉並区の市区町村境界の描画のみ

補足注記

■「公示地価」とは
「この場所の土地、1m²あたりいくらが妥当か」を国が毎年調べて発表している価格のことです。実際に売買される値段とは多少ずれますが、「うちの近所の土地、いくらくらいなのか」をエリア単位で比べたい時の最も中立な物差しとして使われています。不動産屋さんが言う「相場」のもとになる数字、と理解してもらえれば十分です。

■ なぜ2026年版が最新なのか
公示地価は毎年1月1日時点の価格を、その年の3月に発表する仕組みです。本記事は2026年5月時点で確定済みの最新データ(2026年版)を使っています。次回更新時には2027年版・2028年版を順次組み込んでいきます。

■「中央値」とは
同じ町に複数の調査地点がある場合、その町の値は中央値を採用しています。中央値とは、順番に並べたときに真ん中にくる数字のこと。たとえば「100、150、200、500、1000」という5つの数字があるとき、平均は390ですが、中央値は200です。1つだけ飛び抜けて高い土地に引っ張られないため、町の代表的な値を示すには中央値のほうが向いています。

■ 地点数のばらつき
町によって調査地点の数は1〜6件と差があります。地点が1件しかない町は「その1地点の値段=町の値」となるため、地点が複数ある町と比べると参考値の意味合いが少し変わります。

■ 用途地域は「住宅地」の大区分でまとめている
同じ「住宅地」の中にも第一種低層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域・準住居地域などの細分がありますが、本記事では「住宅地」の大区分でまとめて集計しています。

■ 数字の正確性について
本記事は公的データの集計をもとにしていますが、原データの誤り・筆者の処理ミス・AIによる集計補助のエラーなど、誤差が含まれる可能性があります。目安として読んでいただくのが正解です。正確な数字は、必ず一次データ(不動産情報ライブラリ)でご確認ください。誤りのご指摘は歓迎します。

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